一言:プリモルートが別格で非常にレベルが高く、全般的にはシリアス戦闘パートなどは評価出来るが日常パートはもう一歩。だけどHシーン数が致命的に少なかったのはエロゲーとして駄目でしょ。
何よりもまず演出の巧さが本シリーズの特徴であると思う。
象徴的なのは戦闘シーンとライブシーン。
シナリオ+αの魅せ場をしっかり設けるところに本シリーズの強みがあると思う。
本作は『Chu×Chuパラダイス』や『ユニティマリアージュ』と同様に、
ファンタジー設定を背景にシリアス、バトルがメインに据えられているタイプ。
自分は3年前の無印の感想では戦闘モノをメインに据えた方が良いと書いていたし、
特に『Chu×Chuパラダイス』では完成度が高く、その傾向が本作でも如実に顕れている。
ただシリアスパートに重きを置いた一方で、そうではない日常パートが若干弱くなってしまっているのが一つ。
具体的にはアイドルネタが弱かった。
本作では前作の上杉うたルートに相当する魔界ネタから離れたアイドルルートが存在せず、
全般的に魔界での話に絡んだシリアスな方向へと向かってしまっている。
これ自体は欠点だとは思わないが、雪乃だけはアイドルネタに専念した話でも良かった気もする。
あと無印は性格的にもチュチュ=チューアだったのでその二人の出番の数にそれ程不満は無かったが、
本作はチューノと合体する二人がそれぞれ=という訳ではないから、チューノ単体の扱いに違和感を感じた。
あの合体ネタは無印の設定があってこそだと思う、大ヒットタイトルだから名前使いたいのは分かるけど無理を感じた。
ルート別だと、
・ルーチュルート
及第点。
姉妹を探す話で方向性で魔界ネタである必要性もあるしきちんとしているが、地味。
もうちょっと主人公とイチャイチャしても良かったと思う。
・雪乃ルート
あんまり面白くなかった。
雪乃ルートは本筋が雪乃じゃなくて万里の社長の話になっていたのが駄目だったのだと思う。
万里の社長の話自体は良くても、その評価が雪乃に対する思い入れに繋がらないからなぁ。
・プリモルート
チュチュもどきかと思ったらそのシナリオのレベルの高さに愕然。
前半のアイドル生活というコメディ色溢れる日常パートと、
後半のプリモに隠された秘密をめぐるシリアスなパートの対比構造が上手く機能していた。
吸血鬼モノではありがちな話かもしれないが、独創性は十分にあるし完成度は高い。
このルート単体だけなら『Chu×Chuパラダイス』を越えていると思う。
正直Chu×Chuシリーズではこのレベルのシリアスなシナリオが読めるとは想定していなかった。
感覚的には上から65点、50点、85点。
で、何より本作で致命的な問題点と言えるのは特にHシーンの少なさだと思う。
各ヒロインSpecial含め4回ずつ(内1回ずつ妄想)って今までのユニゾンシフト作品でワーストじゃないか?
参考までにChu×Chu無印は
チュチュ・アストラム…8
仲内知由…8
チューア・チュラム…5
上杉うた…8
ヒヨリ・ピクシー…8
リップ&キッス…1
だったと3年前の自分は記していた。
妄想シーンが一番濃くて他は普通レベル……実用云々言うには絶対数が少なすぎると思うし、
これはエロゲーとしては改めるべきところ。ていうか何で今まで出来てたのに出来なくなってんの。
一番実用的なシーンはHシーンじゃなくてチューノがポロリするところだったと思う。
あとフェチっていうのかな、そう言うのも本メーカーのウリだと思ってたんだけど、もうそこも皆無だったし。
逆に穿ってFDとかの為にアイドリングしたみたいな商法なのかとも考えられるけど、それにしたって本作は少なすぎた。
Hシーン増やせば自然とそこに行く過程だとかでヒロインとイチャイチャする流れが出来る訳で、
他のどんなシーン増やすよりここきちんとすれば萌えゲーとしてもエロゲーとしても形になって是正されると思うんだけどな。
・主人公について
ユニティの乙女さんの弟子という設定で今回戦闘もこなす主人公となっている。
傍観者としてただ居るだけの主人公とは違い本筋にもガンガン絡めるこの手法は良いと思うし、
少なくとも本作の戦闘モノっていうコンセプトと咬み合っていた。
・サブキャラとか
朝倉麗華とかいうキャラ……何でいたの?時間切れとかでルートが抹消されたキャラなの?という位に全然話に絡んで来なかった。
今回は魔界ネタが多くて必然的に無印キャラの出番も多かったが、
その分今作からのサブキャラは明確な敵キャラを除き出番が少なく、
越後屋とか牛山妹とかももっと本筋に絡めても良かったのではないかと思った。
先にも言ったように元々FDでやるっていう話だったのかもしれないけどね。
こっちは寧ろそういう媒体で消化すべき所かもしれないし欠点とかではないけど、
麗華だけは本当に存在意義がまるで見えてこないで時間切れ感を感じた。