その前に一言。
私は完結作品には然程期待はしていない、この「破」さえあればひとまず個人的には満足で、ヱヴァ三部作を一まとめにして見ているということはしておらず、それぞれ独立した作品として評価している。
さて、一回目で漏らした所(設定面の取りこぼしなど)も新たに発見した所も少なくなかった。別の解釈も出来るようになったしね。
2回目を観た単純な感想としては一回目を観た時よりも時間が早く感じられた、予めどこが盛り上がりどころでどこまでで終わりかを承知しているのでこれはヱヴァに限らず感じることである。その上で本作は非常に魅せ場が多く、飽きさせない作りになっていることを再認識した、本当にこれは何度観てもいい。
・加持君の持って帰ってきたアタッシュケース
「線で作られた人型を模した鍵のような代物」が「ネブカドネザルの鍵」
前回では居酒屋でのミサトさんとの会話から、加持君が北極基地から「ネブカドネザルの鍵」=「ダミーシステム」を持ち帰ったという具合に解釈していたが、加持君は「ゴルゴダベース」から「ダミーシステム」を持ち帰ったと言っていた。
北極基地は「ベタニアベース」であるから、この推察は間違いだったと言えるだろう。つまり完璧に別物。「ベタニアベース」ってのは北米基地のことなのだろうか。
キリスト教において「ゴルゴダ」はキリストが磔刑に処された場所で謂わば「死」のイメージを持った場所。
対して「ベタニア」はキリストがラザロを復活させる奇跡を起こした場所で謂わば「生」のイメージでこの二つの地域は背反する場所として取り扱っているのではないだろうか。つまり「ダミーシステム」とは逆の効用を持った代物が「ネブカドネザルの鍵」なのではないかと。
そう考えると無印や漫画版でのアダムのイメージとはビジュアル以外は乖離させる意味はないんだよね。
因みに「ネブカドネザル」は古代メソポタミアの4人の王の名前で、4という数字はセカンド=インパクトの時の巨人だとか、次回予告に居た他の4人のチルドレンが連想される。
関連して「マルドゥック」は古代バビロニアで信仰されていた神の名前、これは各ネルフやゼーレがそれぞれ別の「神」のイメージを持っているからこういうネーミングにしているのではとも考えられる。
・匂いについて
屋上でのシーンでマリは「L.C.Lの 香 り がする」と言っている、前回も挙げたように一連の匂いシリーズの一つとしての解釈は間違っていないとは思うが、これだけ表現が少し違ったということをピックアップしておく。
・第三使徒が何故封印から出たのか
ゲンドウたちのネルフのシナリオというか、彼らの計画に沿わせる為に必要で、加持君がその実行或いは手助けをしたのは間違いないと思う。5号機以降の製作はゲンドウたちの持つ「死海文書」外典か何かの物だという表現もあることから、要は計画外の案件なので潰す必要性があったということなのだろう。
それから北極基地での「辺獄エリア」についてであるが、これはアケロン内部を分類した中の一つを「辺獄」と名付けたか、或いは
(仮)地獄→アケロン→辺獄→地上 みたいな構造なのだろう。
・マリとリツコの関係
前回も挙げたがリツコが電話で話している相手はマリだと思う。そう聞こえるような名前もきちんと呼ぶが「マイ」とも聞こえるので断定は出来ないが、ほぼ間違いないのではと思っている。
ただ、マリが弐号機を動かす際にリツコは特にアクションをとっておらず、マリのあの行動は何らかのバックがおり(おそらくユーロ・ロシアネルフだと思うが)、それが入国の手筈を整えたり、新型のプラグスーツ、弐号機の使った「小剣付き銃器」を支給したのだろう。
マリがプラグスーツを着るのと同時にカヲル君もプラグスーツを着込む描写から、カヲル君の方はおそらくゼーレがバックについているのであろうと対比的に予測できるし、もしくはどちらも同じバックの組織(死海文書の外典に遵守している何れかの機関)がついているという考え方も出来る。
屋上で電話していた相手も加持君では無いかな、マリは初期思考言語を「日本語」にしており、加持君との最初の会話でも日本語を話しているというのに、わざわざ加持君と英語で話すというのは少々不自然に思える。(加持君が英語を話せるのは間違いないので絶対ではないが)加持君の「子供を大人の・・・」とマリの「大人を私の・・・」とのように目指すところも対比的でそれぞれ別の思惑のバックとなる組織がいて動いているというように解釈するのが無難であると思う。
組織数に関しては各国ヱヴァ3機まで、という「バチカン条約」から恐らく多くとも4,5つなのかな。日本ネルフ、北米ネルフ、ユーロネルフ、ロシアネルフ(ユーロとロシアは一緒かも)、ゼーレはヱヴァの制限数に関係なく独立して存在することも考えられる。
・終盤の神となりそうだった初号機について
一回目はリツコの台詞の意味の全てまでは拾えなかったが、二回目では「純粋にエネルギーの凝縮体、願いを叶えるためのみに存在する人を超えた神の様な存在」といった内容を言っていたように拾えた。これは旧劇場版の一番最後のシンジくんたちがこれから世界を創造云々という状態とほぼイコールの話なのだろうと思う。
・セフィロトの樹について
本作ではプラント、浄水施設、水族館みたいなあの施設の形状が上から俯瞰するとセフィロトの樹になっている以外には出てきていない筈。これにしたってパンフレットにも書いてあるから気づいたような物で、予めしっているかよく観ていないと気づかない点であると思う。上からちゃんと俯瞰するの一回切りなので。
・細かい話(建造物などの文字、聞き逃した台詞など)
仮設五号機が起動する時の緑色の文字は普通に仮設五号機起動するぜー、みたいなことが英語で書いてあったような気がする。
歩道橋の隣にある看板に「~~電線注意」(~~の部分は失念)と書かれていた、あの近未来都市で電線のシステムの必要性は疑問で、街を機能の一部を担う役割があるのではないだろうか、「仮電線注意」とか「仮空中電線注意」とかそんな具合なことが書かれていたように見えた、歩道橋のシーン以降にも一回出てくる。
MAGIかどうかは分からないが、リツコと加持君が居た部屋はリツコがミサトさんに向かっている方向から右側はR-60、61、62・・・左側はL-60、61、62・・・のような作りになっていた。
一回目で二つ聞き逃した台詞があったのだが
一つはミサトさんが「アスカ、○○○○貸してー」というくだり、答えは洗顔ソープでした。
もう一つは2回目を観ても聞き落としたのだがアスカが浄水施設でレイに向かって「えこひいき、△△△△」というくだり、私には一回目は「カルキ」と聞こえ、二回目には「ケイコウなんたら」と聞こえた、意味不明である。
声優に関しては一度も述べていないが、10年も経っているだけにレイやアスカは声に無理があるようにも感じられる、レイなんかは元々セリフが少ないし、それ以降の林原キャラのイメージもそれなりにあるので聞けば聞くほど変に思えてしまうのかもしれない。アスカの方は特に無理して声を作って出している感がかなり感じられるかなぁ、逆にシンジくんは鬼気迫るセリフも増え演技自体にも好感が持て、カヲル君を始とした男衆は相変わらずで逆に吃驚する、三石さん演じるミサトさんもその類かもしれない。加持君は凄みが増した感じだが、山ちゃんは当時から北辰とかスパイクとかやってたしなぁ。
マリに関してはマーヤで合っていると思う。真綾を声優で使う場合はそのキャラクターだとか演技指導でもう全然違ってしまうなというのは「ラーゼフォン」や「空の境界」他を見聞して経験上持っている感想。
こんなもんかな、明後日(金曜日)は三回目を観に行きます、取りこぼしは二回目で殆ど回収出来たと思いますが、まだもうちょっと観たいのです。
関連日記:
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